絵画において犬が持つ意味
今回展示される作品の中には犬が描かれているものがあります。犬は、人間が一番はじめに家畜化した動物です。人間と犬は互いの生活のサポートを通して友好関係を築いてきました。私たちの生活に恩恵をもたらしてくれる犬は、芸術作品にも多く登場します。もっとも古いものだと、サウジアラビア北部の壁画「ハーイル地方の岩絵」が挙げられます。これは、なんと8千~9千年前に彫られたものであり、少なくとも349匹の犬が描かれているそうです。この壁画から、犬ははるか昔から実世界のみならず、我々の内面世界に入り込んでいる存在であることが分かります。絵画に描かれている犬は、外界に実際に存在する犬を自分の中に取り込み、それを再び外部に出力した結果であり、そこには描き手の内面に存在する何らかが多少なりとも影響を及ぼしているはずです。したがって、絵画に描かれている犬が持つ意味について知ることで、先人たちの生活やその背後にある価値観についても知ることができるかもしれません。
絵画に犬が描かれているとき、主に以下の3つの意味があるとされています。
忠節・貞節の象徴
犬の持つ習性を反映させた意味となっています。西洋絵画では、結婚式や夫妻が描かれていると年代問わずセットで犬が描かれていることが多いです。
Ex)ヤン・ファン・エイク《アルノルフィーニ夫妻の肖像》
(引用元:https://artmuseum.jpn.org/mu_arunolufini.html)
邪悪・不浄の象徴
ユダヤ教あるいはユダヤ人の間では邪悪な生き物としてみなされています。
その理由として、ユダヤ教聖書の『レビ記』の11章27節に、
すべて四つの足で歩く獣のうち、その足の裏のふくらみで歩くものは皆あなたがたに汚れたものである。すべてその死体に触れる者は夕まで汚れる
との記載があり、これに犬も当てはまると考えられます。
アドニスのアトリビュート
犬はギリシャ神話に出てくる美少年アドニスのアトリビュートです。アトリビュートとは、絵画に出てくる人物を特定するのに必要なアイテムや動物のことを指しています。また、アドニスとは美と愛の神アフロディーテに愛された美少年です。彼は狩りをしている最中、イノシシに襲われてしまい死んでしまいました。アドニスは狩猟が大好きだったため、狩猟に使う槍と犬が彼のアトリビュートになりました。
Y.S
参考文献:
https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/55092038166.htm
https://www.asahi.com/articles/ASKCK74VSKCKULBJ01G.html


コメント
コメントを投稿